【サーバ】偽物CPU(Intel+AMD)の見分け方

概要

近年(2023年現在)、メルカリやヤフオクを覗くと偽物CPUと思しきそれが多く出回っています。例えば図1・図2に示したCPUは全て偽物です。

図1.偽物のRyzen ThreadRipper
図2.偽物のXeon

本記事では、最近流行っている偽物CPUの見分け方を記述します。値段が相場よりも著しく安いCPUは詐欺の可能性が高いため、ご自身で確認なさってからポチってください。

詳細に見分けるポイントを、以下に記します。


横長タイプ(ThreadRipper・EPYC)

最初は、横長タイプのCPUについてです。AMDのThreadRipper・EPYCがこれに当たります。


価格・雰囲気等

偽物CPUを見抜くときに重要なファクターは、価格と雰囲気です。

まず価格ですが、横長タイプの偽物は比較的見分けやすく、明らかに値付が相場よりも著しく低いです。ThreadRipper 3990X(図3)の場合は相場が50万円以上のところ、メルカリには僅か4万円で出品されています

図3.偽物のRyzen ThreadRipper 3990X

必ずしも安すぎる品物がダメというわけではありませんが、価格が異常に低いというのは一つの警戒バロメータになります。

次に、箱の写真がありません。AMDの箱に特殊なシール加工と製品番号が付いており、これと見比べると容易に偽物であることがバレるためだと考えられます(図4)。

図4.偽物のCPUは箱の画像を写さない

加えて、この手の出品者はCPUばかり出品していたり、評価が異常に低かったり、評価の絶対数が少ない傾向が見受けられます(図5・図6)。

図5.評価内容が異常に悪い出品者
図6.評価の絶対数が少なく、動作未確認CPUだけを出品している

ここまで来れば、ほぼ確定で偽物を疑って良いです。


製品画像

疑わしいが確証が持てない場合は、CPUそのものの写真も確認します。

下に偽物CPUの裏面を示します(図7)。

図7.偽物CPUの裏面。傷が入り、中央右のチップコンデンサが塞がれている

左上に油っぽい擦り傷があり、中央右のチップコンデンサが黒いシールで塞がれています。正規品の裏面は下の図8の通りで、チップコンデンサのシールは認められません。

図8.正規品の裏面(STHのサイトから引用)

正規品と偽物をよく見比べると、中央左側のチップコンデンサも2枚剥がれており(図9)、パターンも異なることが認められます。

図9.偽物ThreadRipperのチップコンデンサ

長方形タイプのCPUはチップコンデンサを物理的に剥がした上で、シールを行って動作せずその加工もバレないよう加工しているようです。これは、対応マザーボードの価格が高く、OCを装った電気的破壊の工作が難しいためだと考えられます。

正方形タイプ(リマーク品)のCPUを破壊する場合は、それほど手間をかけず、OCマザボで高圧電流を印加しているようです。

最後に表面の画像です。図10に示す通り、刻印の表記が抜けていたり、AMDロゴの刻印開始位置が僅かに微妙にずれている個体は偽物です。

図10.右下にあるはずの「© 2019 AMD」の刻印がない
左上のAMDロゴの刻印開始位置が僅かに右側に寄っている

他にも、図11のように、露光に関係なく印字が一部だけ不自然に消えていたり、印字位置が全体的にずれていたり、左下の刻印が焼印っぽいものも偽物です。

図11.印字が通常であれば均等に消えるはずだが、
QRコードの左側だけ擦れて消えている。
印字も全体的に上へずれている。
左下の数字の刻印も彫りではなく、焼け焦げている。

最後に、私が実際に購入した本物の3990Xの画像を貼っておきます(図12)。

図12.正規品のCPU(ヤフオクで落札:アーカイブ

なんとなくですが、模造品と比べると刻印の色が濃いですね。加えて、オレンジ色の台座が付いていますなおThreadRipperシリーズは、付属品の台座と六角レンチが無いとマザーボードにCPUをインストールできません。模造品はどうやってマザーボードにCPUを取り付けるつもりなんでしょうね・・・?


正方形タイプ(AMD Ryzen・Intel Xeon・Core i)

価格と出品者の評価・陳列品については、長方形タイプと同じです。主な違いは製品画像の見分け方です。

なお、Intel製品の場合、ES品(Engineering Sample)と呼ばれる製品が出回ることがありますが、これは市場に出回らない超レア商品です。ES品は、Intelからメーカー側へ貸与されるものであり、売っていても通常品の価格を下回ることはあり得ません。格安で売っている場合は詐欺だと思って問題ありません。


製品画像

最初に裏面です。ここでは、コンシューマ向けのCore i7-10700Kを見てみましょう(図13)。もちろん偽物CPUです。

図13.チップコンデンサのパターンが正規品と異なる

なお正規品は下図14の左です。

図14.Core i7 10700K正規品(左)、i7 9900KS正規品(右)
:「自作とゲームと趣味の日々」より引用

明らかにチップコンデンサのパターンが正規品と偽物で異なっています

表面の印字は、長方形タイプと同様に印字が薄かったり、一部が消えている場合があります。また、殻割がなされている場合もあり、横から見ると接着剤のはみ出かたが違うことが多いようです。

正方形のCPUはコンシューマ向けのことが多く、ヒートスプレッタ(殻)の刻印を書き換える「リマーク品」と呼ばれる種別の偽装が多いです。それゆえ、パターンが下位CPUのそれであったり、刻印がおかしかったり、殻を剥がした跡が残っていたりするようです。

あとはIntelのCPUはシリアルナンバーを調べるサイトがありますので、それを確認してみるのも良いでしょう。


結論

偽物CPUにはリマーク品と呼ばれるヒートスプレッタの刻印を書き換えたものが多いです。正規品と偽物の違いは、出品者や写真等の情報から見抜くことが出来ます。

なお私はCPUをヤフオク・メルカリ・AliExpressで10枚は買いましたが、今のところ騙されたことがありません。ヤバいものをヤバいと見抜くことが出来ない人は、(C2Cサイトを使うのは)難しいのかもしれません。

作成者: rarafy

2013年くらいからUnityを触っているかもしれません。 特に書くこともありませんが、趣味は部屋の掃除です。

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