概要
DIXというプロバイダさんと契約しました。PPPoEも対応していたのですが、せっかくなので、IPoE接続してみようと思い立ち、設定を行いました。
落とし穴が多く大変苦労しました。後進の方のために備忘録です。
罠A. CiscoルータではIPv6 over IPv4が出来ない
結論から書くと、Cisco 891FJ-K9(図1)は使えません。IPv4 over IPv6に対応していないためです。
持っているルータが IPv4 over IPv6に対応しているかどうかは、ニフティさんのwebサイト(@nifty v6サービス|@nifty)で確認できます。
このページの表によれば、2022.05時点で、CiscoルータはC11xxシリーズしか当該技術に対応していません(図2)。
参考資料
・【pdf】OCNバーチャルコネクトサービス(IPoE接続)対応端末|NTT Communications
・Cisco ASA5505でフレッツ光インターネットにIPv6接続しNAPT通信する|designetwork
用意していたルータはダメだったので、代わりにNEC Univerge IX2105を使います。
手順
順序に沿って説明します。
1. NTTフレッツ光を1本引く
フレッツ光を引きます。
2. DIXに申し込む
次に、DIXにwebサイトから申し込みます。IPoEオプションと固定IPサービス(PPPoE)は同時に申し込むことが出来ません。私はIPoEオプションを選びました。
3. ルータの設定をする
NEC UNIVERGE IX2105(図3)を使いました。
ルータを初期化してconfigを投入します。NEC IXは基本的にCiscoとコマンド体系が同じで、Ciscoに慣れている人は割とすんなり使えると思います。
・・・ところで、ファームウェアのバージョンは確認しましたか?
罠B. ファームウェアバージョン
図4を見てください。これは先の表です。
IPoE接続に対応したルータとして、ファームウェア要件 10.5.22以降 が挙げられています。さて、図5を参考に手元のIX2105のバージョンを確かめてみました。
Version 8.9.17と書いてありますね。ファームウェアバージョンを上げなければいけないのですが、当然ネットにファームウェアが落ちておらず、当該ソフトをダウンロードしたい旨をNECに直接申請する必要があります。
詳細な手順は別記事(【UNIVERGE】WindowsでNEC IX2105のファームウェアをアップデートする)にまとめました。参考まで。
ファームウェアのアップデートが終わったらコマンドを流し込みます。
ip ufs-cache max-entries 20000
ip ufs-cache enable
ip route default Tunnel0.0
ip dhcp enable
!
ipv6 ufs-cache max-entries 10000
ipv6 ufs-cache enable
ipv6 dhcp enable
!
proxy-dns ip enable
proxy-dns ip request both
!
ip dhcp profile dhcpv4-sv
dns-server 192.168.1.1
!
ipv6 dhcp client-profile dhcpv6-cl
information-request
option-request dns-servers
!
ipv6 dhcp server-profile dhcpv6-sv
dns-server dhcp
!
interface GigaEthernet0.0
no ip address
ipv6 enable
ipv6 traffic-class tos 0
ipv6 dhcp client dhcpv6-cl
ipv6 nd proxy GigaEthernet1.0
no shutdown
!
interface GigaEthernet1.0
ip address 192.168.1.1/24
ip dhcp binding dhcpv4-sv
ipv6 enable
ipv6 dhcp server dhcpv6-sv
ipv6 nd ra enable
ipv6 nd ra other-config-flag
no shutdown
!
interface Tunnel0.0
tunnel mode map-e
ip address map-e
ip tcp adjust-mss auto
ip napt enable
no shutdown
参考資料
・NEC UNIVERGE IX2015でIPv6 IPoEとDS-Liteを使用する。|F-blog
・v6プラス (MAP-E方式) 設定ガイド|NEC
※参考資料1つ目ではうまく行きませんでした。DIXが対応しているのはtransix(DS-Lite)ではなく、MAP-E(v6プラス)だからですね。詳細は下記参照。
・IPv6のIPoE接続「MAP-E」と「transix」の違い【V6プラスとDS-Lite、ステートレスとステートフル】|ヘルニアクソ野郎エンジニアblog
※同じ罠を踏み抜いた人のブログ記事
・MAP-E対応業務用ルーターを買ったがファームが公開されてなかった(白目)|Re:シルの日々の戯言
設定が終わったらGE0にONUからの線を、GE1にLAN機器のケーブルを挿します。ややもすればネットが開通するはずです(図6)。
お疲れ様でした。
おまけ
① 速度はどれくらいですか?
図7に示すように、下り350Mbps, 上り250Mbpsという結果でした。SpeedTestさんは結構ズレが激しく、測り直すたびに平気で100Mbpsくらい振れるのであまり信用はしていないです。
fast.comさんの結果は図8です。
ベンチマークに関しては、各社数値がバラバラなので、もはや何を信じたらいいのか分かりません。
後で調べたらUNIVERGE IX2105のスループットは440Mbps程度とのことで、ほぼ限界まで速度が出ていたようです。
余談
あまり関係ないですが、使い終わったルータを初期化し忘れると、図8のようにユーザ名と起動時のメッセージが広大なネットの海に上げられて、お茶の間で話題になってしまうかもしれません。ちなみに前回のルータの持主は柏崎刈羽の方でした。
Amazonで買ったルータが、何故か毎回頑なに初期化せずに送られてきます。筆者は密かにこの瞬間を楽しみにルータを注文しました(これで3個目)。